
フェンダー社 創業者:レオ フェンダー
レオ・フェンダー(Leo Fender, 1909-1991)は、現代の音楽シーンを根底から変えたエレクトリックギターの先駆者であり、**フェンダー社(Fender Electric Instrument Manufacturing Company)**の創業者です。
特筆すべきは、彼自身はギターを弾くことができなかったにもかかわらず、エンジニアとしての卓越した視点から「道具」としての楽器を再定義した点にあります。
主な功績と歴史
レオ・フェンダーが音楽界に残した足跡は、大きく分けて以下の4つの革新に集約されます。
1. 世界初の量産型ソリッドギターの発売
1950年に「ブロードキャスター」(後のテレキャスター)を発売しました。それまでの空洞があるギター(ホロウボディ)とは異なり、板材を切り出しただけの「ソリッドボディ」を採用。さらに、ボディとネックをネジで固定するボルトオン構造を考案し、修理のしやすさと大量生産を可能にしました。
2. エレクトリックベースの「発明」
1951年、世界初のフレット付きエレクトリックベースであるプレシジョンベースを発表しました。それまでの巨大なウッドベース(コントラバス)に代わり、ギター感覚で正確な音程(Precision)を出せるこの楽器は、バンドのアンサンブルを劇的に進化させ、ロックやポップスの礎を築きました。
3. ストラトキャスターの誕生(1954年)
現在、世界で最もコピーされているギターのデザインであるストラトキャスターを開発しました。
- コンター加工: 体にフィットするように削られたボディ曲線。
- シンクロナイズド・トレモロ: 安定したピッチ変化を可能にする画期的なビブラート機構。
- 3ピックアップ: 多彩な音作りを可能にしました。
4. アンプと技術の革新
楽器本体だけでなく、**「フェンダー・アンプ」**の開発でも頂点を極めました。彼の設計した回路は、後に登場するマーシャル(Marshall)など、多くのメーカーに影響を与えています。
略歴とその後
- ラジオ修理店からのスタート: もともとはカリフォルニアでラジオ修理業を営んでおり、その技術を応用してピックアップやアンプの製作を始めました。
- フェンダー社売却と復帰: 1965年に健康上の理由でフェンダー社をCBS社に売却。その後、体調が回復するとMusic Man(ミュージックマン)やG&Lといったブランドを立ち上げ、亡くなる直前まで新しい楽器の開発に情熱を注ぎました。
- 晩年: 1991年にパーキンソン病の合併症により、81歳でこの世を去りました。
レオ・フェンダーの哲学は、常に**「実用性と修理の容易さ」**にありました。その合理主義が生んだデザインは、登場から70年以上経った今も、ほとんど形を変えずに世界中のステージで愛用されています。
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